「インターネットは現実なのか?」
テクノロジーの進歩、ユーザーの知見、メディアのニュースなどをもとに、インターネットは現実なのか考察。
インターネットと現実世界との違いを図や表を用いて、分かりやすく解説しています。
インターネットは現実?
インターネットは、世界中のパソコンやスマホなどの情報機器を接続するコンピュータネットワーク(技術やシステム、接続・通信)として存在します。
つまり、インターネットは現実の一部です。
情報は有線だけでなく無線でもやり取りを行うため、全てが物理的なものではありません。
しかし、インターネットは現実の一部ですが、現実そのものではありません。
インターネットは、私たちが情報にアクセスし、他者とつながることを可能にする便利なツールですが、現実世界の経験に代わるものではありません。
論理的に考えた場合もインターネットは存在する
仮に「インターネットは現実でない」という仮説が成立するのであれば、人間は現実でないものを作ったことになります。
現代社会において、個人や企業はインターネットを通じてコミュニケーションを取っています。
メール、SNSの通話機能など身の回りで利用している多くのことにインターネットの技術が使われています。
仮想空間と捉えることもできる
インターネットは、コンピューターによって作成されるシミュレートされた環境(仮想的な空間)と捉えることもできます。
現実は主観的に捉えるものであるため、「インターネットは現実でない」と考えることは、間違いではありません。
しかし、前述した通り、インターネットは事実存在しています。
インターネットは何ができる?
インターネットは、ネットワーク上の他のコンピューターとの間で、あらゆる情報(ファイル、テキスト、画像、ビデオ)を送受信します。
インターネットを発明したのは誰?
インターネットの概念は、1945年頃、ヴァネヴァー・ブッシュが、リンクされたデータの膨大なライブラリーを予言したことで生まれました。
米国の科学雑誌『アトランティック・マンスリー』で彼は「As We May Think(思うがままに)」 と題したエッセーを寄稿。
そこには、MEMEX と命名された架空の装置のアイデアが示されていました。
「As We May Think」は、ハイパーテキスト、パーソナル コンピュータ、インターネット、ワールド ワイド ウェブ、音声認識、Wikipedia などのオンライン百科事典など、出版後に発明された多くの種類の技術を (ある程度) 予測しました。
As We May Think – Wikipedia
インターネットと仮想空間の違いは?
仮想空間は、ネットワーク上で人々が現実世界のように交流する場のこと。
インターネットも一つの仮想空間と捉えることが可能です。
一般的には、3Dグラフィックスやバーチャルリアリティ技術を使用して構築された空間を示します。
仮想空間とメタバースの違いは?
メタバースは、現実世界の延長線上にあるような空間を目指しています。
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)ヘッドセットの使用によって一部の層に普及しました。小型のスマートグラスが登場したことで、一般層への拡大が期待されています。
仮想空間と違い、社会的および経済的なつながりに焦点を当てていると言われます。
そもそも現実とは何か?
現実は、いま目の前に事実として現れている事柄や状態を表す言葉です。
下記記事では、事実と現実の違いを解説しています。
インターネットと現実世界の違い
インターネットと現実世界の違いを一言で表すならば、「直接な経験の有無」と言えるでしょう。
現実世界は、現実で起きる出来事を五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)で直接捉えるのに対して、インターネットは、主にデバイス(スマホ、PC、ゲーム)の画面や音声を通じて、出来事を間接的に捉えます。
インターネットと現実世界を比較した表
項目 | インターネット | 現実世界 |
---|---|---|
特徴 | 世界中の人と 瞬時にコミュニケーションを取ることができる 間接的 | 実際に人と会って コミュニケーションを取ることができる 直接的 |
情報の共有 | デバイス(PC、スマホ、ゲームなど) 画面や音声を通じて受け取る | 人間の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚) を通じて受け取る |
メリット | 時間や場所に制約を受けない | その場の温度感を共有できる |
これは、それぞれのメリットを訴求する場面で役に立つはずです。
インターネットと現実世界の境目が曖昧になった理由3つ
インターネットと現実世界の境目が曖昧になった主な理由は下記の3つです。
- インターネット利用者が激増したから
- インターネット上での活動やコミュニケーションが現実世界と密接に結びついているから
- 若者を中心にインターネットを現実の一部と捉えるようになった
それぞれ、具体的なデータなどを紹介しつつ解説していきます。
インターネット利用者が激増したから
統計調査専門のプラットフォーム、スタティスタ(Statista)によると、2022年時点で、世界中の推定インターネット ユーザー数は53 億人で、前年の 49 億人から増加しています。
インターネット上での活動やコミュニケーションが現実世界と密接に結びついているから
1日の大半をインターネットで過ごしている人が「インターネットはもはや現実世界では?」と感じるのは不思議なことではありません。
例えば
- 朝スマホで天気予報を確認して、電車でネットニュースを読み、会社ではメールでやり取り
- 旅行先では、Googleマップを使いながら移動
という方もいるのではないでしょうか。
インターネットが、現実世界に大きな影響を与えているのは、周知の事実です。
インターネット上での活動やコミュニケーションが、現実世界での人々の行動や関係に影響を与えることから、インターネットは現実世界と密接に結びついています。
若者を中心にインターネットを現実の一部と捉えるようになった
米国のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、「Z世代にとってインターネットは現実、その捉え方を探る」という記事で人付き合いやコミュニケーションのあり方を探っています。
TwitterなどのSNSを使いリアルタイムで情報を共有したり、ゲーム内で交流をしている世代にとってインターネットは現実世界の一部であり、ごく当たり前に存在しているのです。
Z世代とは、生まれた時からスマホやソーシャルメディアが存在した世代。
明確な定義はなく、一般的に1990年代後半から2012年頃に生まれた世代を指します。
まとめ
- インターネットは、現実の一部だが、現実そのものではない
- 物理的なものではない(インターネットがコンピューターによって作成されるシミュレートされた環境)
- 「仮想空間=現実でない」と主観的に捉える人もいる
- インターネットと現実世界の境目が曖昧になった理由3つ
- インターネットの利用者が増加(Statistaの調査によると2022年時点で約53億人)したから
- インターネット上での活動やコミュニケーションが現実世界と密接に結びついているから
- 若者を中心にインターネットの捉え方が変化したから