MLモデル(機械学習モデル)とは何か、アルゴリズムの例を紹介。
MLモデル(機械学習モデル)とは?
MLモデル(機械学習モデル)は、コンピュータにデータを与えることでパターンや関係性を学習させ、未知のデータセットからパターンを見つけたり、判断を下したりできるアルゴリズム。
アルゴリズム(Algorithm)とは、問題を解決するための計算や処理の手順。
トレーニング中、機械学習アルゴリズムは、タスクに応じてデータセットから特定のパターンまたは出力を見つけるように最適化されます。
このプロセスの出力 (多くの場合、特定のルールとデータ構造を備えたコンピューター プログラム) は、機械学習モデルと呼ばれます。
英語表記:Machine Learning Models
何ができる?
例えば、自然言語処理では、機械学習モデルはこれまで聞いたことのない文や単語の組み合わせの背後にある意図を解析し、正しく認識できます。
画像認識では、車や犬、手書き文字など認識するように機械学習モデルを学習できます。
機械学習と機械学習モデルの違い
機械学習は、データを分析する方法のひとつでコンピューターがデータから学習してデータのルールやパターンを発見する技術。機械学習モデルとは、機械学習によって生成された、特定のタスクを実行するためのアルゴリズムです。
機械学習と機械学習モデルは、どちらもデータから学習して、タスクを実行するという点では同じです。
しかし、機械学習は、データから学習するプロセス全体を指しているのに対し、機械学習モデルは、データから学習して生成されたアルゴリズムを指しています。
つまり、機械学習はより広い概念を指すのに対して、機械学習モデルは機械学習の一部です。
アルゴリズムの具体例
機械学習アルゴリズムは、一連のデータ内のパターンを見つけるための数学的手法です。多くの場合、統計、微積分、線形代数から導き出されます。
以下で、機械学習アルゴリズムの一般的な例として、線形回帰、デシジョンツリー、ランダムフォレスト、XGBoostを紹介します。
線形回帰(Linear Regression)
線形回帰は、2つの変数間の関係を予測するために使用されるデータ分析の手法です。
- 未知または従属変数
- 既知または独立変数
を線型方程式として数学的にモデル化します。
線形回帰の例
線形回帰の例として、住宅価格の予測を紹介します。
例えば、以下のようなデータがあるとします。
広さ (平方フィート) | 部屋数 | 価格 (万ドル) |
---|---|---|
1500 | 3 | 100 |
2000 | 4 | 150 |
1200 | 2 | 80 |
1800 | 3 | 120 |
このデータを使って、住宅の広さと部屋数から価格を予測する線形回帰モデルを作成します。
まず、データをプロットしてみると、広さと価格の間に線形な関係があることがわかります。部屋数と価格の関係も考慮しますが、まずは単回帰の例として、広さだけを使って価格を予測する線形回帰モデルを考えてみましょう。
データを使って線形回帰モデルをトレーニングすると、以下のような回帰係数が得られるとします。
y = β₀ + β₁x
ここで、yは価格、xは広さを表します。
トレーニング結果によって、回帰係数の値が以下のように求められたとします。
β₀ = 50 β₁ = 0.1
この場合、線形回帰モデルは以下の式となります。
価格 = 50 + 0.1 × 広さ
このモデルを使って、新しい住宅の広さが2000平方フィートの場合、価格の予測を行うことができます。
価格 = 50 + 0.1 × 2000 = 250
したがって、広さが2000平方フィートの住宅の予測価格は250万ドルとなります。
このように、線形回帰モデルは入力変数(広さ)と回帰係数(50と0.1)を使って、目的変数(価格)の予測を行うことができます。ただし、実際のデータでは複数の説明変数を考慮し、重回帰モデルを使用することが一般的です。
デシジョンツリー
デシジョンツリー(Decision Tree)は、解析の対象データに一切の分布を仮定しない教師あり学習アルゴリズムであり、分類と回帰の両方のタスクに利用されます。
デシジョンツリーは、データの特徴と目的変数の関係を木の形式で表現。
ツリーの各ノードは、特定の特徴を使ってデータを分割する条件を表し、ツリーの葉(リーフ)は最終的な予測結果を示します。
分類タスクの例
分類タスクの場合、デシジョンツリーはカテゴリーを予測するために使用されます。
例えば、スパムメールの分類や患者の病気の診断などが挙げられます。ツリーの各ノードは、特徴の値に基づいてデータを分割し、最終的にデータを所属するクラスに分類します。
回帰タスクの例
回帰タスクの場合、デシジョンツリーは数値の予測を行います。
例えば、住宅価格の予測や売上の予測などが挙げられます。ツリーの各ノードは、特徴の値に基づいてデータを分割し、最終的にデータの平均値や中央値などの数値を予測します。
ランダムフォレスト
ランダムフォレスト(Random Forest)は、複数の決定木(Decision Tree)を組み合わせたモデルです。それぞれの決定木は、異なる部分データセットと特徴のサブセットを使用してトレーニングされます。
データと特徴のランダムなサンプリングを行い、複数の決定木を構築することで、過学習を軽減し、予測性能を向上させます。
ランダムフォレストの例
ランダムフォレストの例として、手書き数字の認識、識別を紹介します。
例えば、手書きの数字(0から9までの数字)の画像データセットがあり、それぞれの画像に対して正しい数字のラベルが与えられているとします。
ランダムフォレストを使用して手書き数字の分類モデルを作成する場合、以下の手順を実行します。
- データセットの準備: 手書き数字の画像データセットをトレーニングデータとテストデータに分割します。トレーニングデータはモデルの学習に使用し、テストデータは学習済みモデルの評価に使用します。
- ランダムフォレストの構築: ランダムフォレストは、複数の決定木を組み合わせて構築されます。各決定木は、ランダムに選ばれたデータのサブセットと特徴のサブセットを使用してトレーニングされます。
- 学習: トレーニングデータを使用して、各決定木をトレーニングします。各決定木は、与えられた画像の特徴(ピクセルの明るさなど)を元に、手書き数字の分類を行います。
- 予測: テストデータを使用して、学習済みのランダムフォレストモデルを評価します。各決定木の予測結果を多数決することで最終的な予測結果を得ます。例えば、複数の決定木が数字「3」と予測した場合、最終的な予測結果も「3」となります。
- モデルの評価: テストデータに対する予測結果を用いて、モデルの性能を評価します。正確さ(Accuracy)や混同行列(Confusion Matrix)などの指標を使用して、モデルの分類精度を評価することができます。
このように、ランダムフォレストは複数の決定木を組み合わせることで、手書き数字の分類タスクにおいて高い分類精度を実現します。各決定木が個別に特徴を抽出し、予測を行うことで、データの複雑な関係を捉えることができます。
XGBoost
XGBoostは、決定木をベースとしたモデルであり、学習データの特徴と目的変数の関係を学習し、予測モデルを構築します。
勾配ブースティングは、弱い学習器(弱い決定木)を順番に学習していき、誤差を最小化するようにモデルを強化していく手法です。
XGBoostの例
XGBoostの例として、住宅価格の予測を紹介します。
例えば、住宅のデータセットがあり、各住宅の特徴(広さ、部屋数、地理的な位置など)とその価格が与えられているとします。このデータを使用して、XGBoostモデルを構築し、住宅価格の予測を行います。
具体的な手順は以下の通りです:
- データセットの準備: 住宅のデータセットをトレーニングデータとテストデータに分割します。トレーニングデータはモデルの学習に使用し、テストデータは学習済みモデルの評価に使用します。
- XGBoostモデルの構築: XGBoostライブラリを使用して、住宅価格の予測モデルを構築します。適切なハイパーパラメータ(学習率、木の数、木の深さなど)を設定し、モデルの学習を行います。
- 学習: トレーニングデータを使用して、XGBoostモデルを学習させます。モデルは、各住宅の特徴を元に価格を予測する能力を獲得します。
- 予測: テストデータを使用して、学習済みのXGBoostモデルを評価します。モデルは各住宅の特徴を入力とし、価格を予測します。
- モデルの評価: テストデータに対する予測結果を用いて、モデルの性能を評価します。平均二乗誤差(Mean Squared Error)や決定係数(Coefficient of Determination)などの指標を使用して、モデルの予測精度を評価することができます。
このように、XGBoostを使用して住宅価格の予測タスクを実行することで、各住宅の特徴を考慮して価格を予測することができます。XGBoostは特徴の非線形関係や相互作用を学習する能力があり、高い予測性能を発揮します。