本記事では、人はなぜ怒るのか、根本的な原因と主な理由を9つ紹介しています。
怒りは、自分を脅かすものに対しての自然な反応ですが、多くの人がネガティブな影響を受けるのも事実です。
しかし、自分や他者の怒りの原因を特定するのは難しいため、困っている方もいるのではないでしょうか。
この記事が、怒りに対しての理解を深め、対処するきっかけとなれば幸いです。
怒りの根本的な原因
怒りの根本的な原因は、科学的に解明されていません。
なぜなら、怒りの原因は人それぞれで複雑であるため、一つに断定することが難しいからです。
しかし、怒りの原因は痛みであると考えられています。
「痛み」と聞いて肉体的なダメージを想像した方もいるのではないでしょうか?
痛みは、身体的なものだけでなく感情的な痛みを含みます。
私たちは、痛みを感じる時、自然な反応として、それを避けようとします。
つまり、さらなる痛みから身を守ろうとする方法が、怒りにつながるというわけです。
人はなぜ怒るのか?主な理由9つ
怒りが発生する主な理由を9つ紹介します。
- 自分の思い通りにならないから
- 目的を達成できないから
- 肉体的な痛みを感じるから
- 侮辱されたと感じるから
- 理解できないから
- 体調がすぐれないから
- 精神状態がわるいから
- 無力感、喪失感を感じるから
- 誤解されたと感じるから
これらの要因で人はストレスを感じ、怒ることがあります。
それぞれ具体例を紹介しながら詳しく解説していきます。
1.自分の思い通りにならないから
自分の思い通りにならないことが、怒りの原因になる場合があります。
人は誰しも、他者に対してこうあって欲しいというイメージがあるものです。
一見すると子供のような原因ですが、「〜すべき」「〜あるべき」という信念・価値観を持っている大人も注意が必要です。
端的に言うと、期待が怒りに変わってしまうということです。
「思い通りにならなくて怒っている人」を思い浮かべた方もいるのではないでしょうか。
これは、他人への期待だけでなく、自分が理想的な行動をできない時にも発生します。
現実の自分と理想の自分のギャップが大きいことがストレスとなり、怒りにつながるというわけです。
具体例
- 妻が家事をしない
- 後輩に失礼な態度を取られた
- 上司が自分の価値観を強要してくる
- LINEの既読が付いたのに無視される
- 3日間恋人が口を聞いてくれない
- 推しのアイドルが振り向いてくれない
2.目的を達成できないから
目的を達成できない時、達成するのを阻害されたことが怒りの原因になる場合があります。
これは、子供が積み木を崩されるのをイメージすると分かりやすいと思います。
つまり
- 完成形のイメージがある
- その目的を達成したい
と考えている人は、それが阻害された時に怒る場合があります。
具体例
- 伝えるのが私の使命と感じて行動するが、友人や家族が話を聞いてくれない
- 慈善活動に協力を呼びかけても、誰も反応してくれない
- 仕事に集中している時に何度も声をかけられた
3.肉体的な痛みを感じるから
物理的に身体を傷つけられることが怒りの原因になる場合があります。
暴力、虐待やネグレクトだけでなく、日常的なアクシデントでも生じます。
具体例
- 机のかどに足をぶつけた
- 偶然人とぶつかった
4.脅迫、侮辱されたから
脅迫など危険にさらされたり、精神的に侮辱されたことが怒りの原因になる場合があります。
尊厳や権利が侵害されていると感じると、怒りの感情を引き起こす可能性があります。
身体的特徴、考え方、行動などあらゆるものが、脅迫や侮辱の対象となります。
具体例
直接的な表現だけでなく、例えば
- 「もっと勉強しろ」
- 「センスがない」「髪型がダサい」
など、上から目線の発言で怒りを感じる場合があります。
5.理解できないから
理解できないことが怒りの原因になる場合があります。
話、仕組み、社会的な風習など、対象は様々です。
具体例
- 文章が難解で理解できない
- 流行りのドラマやアニメの面白さが理解できない
- エスカレーターを
時に怒りを感じる場合があります。
6.体調がすぐれないから
具体例
- 睡眠不足
- 体が疲れている時
時は怒りを感じやすいと言われています。
7.精神状態がわるいから
一部の精神的健康状態は、怒りの問題のリスクを高める可能性が指摘されています。
病気だから怒るというわけではなく、これらが原因となる可能性があることを理解しておきましょう。
具体例
うつ病、双極性障害、不安神経症、心的外傷後ストレス障害 (PTSD) など
8.無力感、喪失感を感じるから
愛する人の死、人間関係の終焉、失業などの損失など無力感が怒りの原因となることがあります。
具体例
- 家族が死んだ
- 学校を卒業して友達と疎遠になった
- 会社都合で突然リストラされた
9.誤解されたと感じるから
誤解が怒りの原因になることがあります。
自分の意図が伝わらず、誤解されたと感じる時、人は怒りを感じる場合があります。
相手が誤解していると勘違いしている場合もあることを覚えておきましょう。
具体例
- 相手が自分の意見を理解してくれない
- 相手の理解力が足りないと感じる
怒りは他者との関わりの中でごく自然に生じる
怒りの原因は他にも数多くあります。
評価・判断される時
人は他者から評価・判断される時、怒りを感じる場合があります。
自己評価と他者評価が一致しないことが主な原因です。
誰かに自分を評価されること自体が、ストレスになる場合もあります。
具体例
- 自分は愛されていない
- 正しく評価されていない
- SNSでいいねがつかない
思い込み・偏見
他者に対する思い込みや偏見が怒りの原因になることがあります。
「〜すべき」という固定観念があり、特定のグループに否定的な信念を持っていると、このような怒りが生じ、差別や偏見につながる場合があります。
具体例
- フリーランスは身勝手な人が多いと勘違いする(個人的な経験による偏見)
- 会社員は自由でないと思い込む(個人的な経験による偏見)
- B型は〇〇だ(科学的データがない偏見※)
- アジア人は〇〇だ(文化を理解しない偏見)
※血液型の性格の無関連性(縄田 健悟氏の論文:現福岡大学 人文学部 文化学科 准教授)
環境や人との距離感
苦手だと感じる人が近くにいる時や、パーソナルスペースを侵害されたと感じる場合にも起こります。
なぜかイライラするという場合は、環境や人との距離感が原因かもしれません。
具体例
- 苦手な人の近くの席に移動になった
- 他の部署から移動してきた同僚が慣れ慣れしい
まとめ
怒りの根本的な原因と理由を理解することで、対処するきっかけとなるはずです。
最後に、本記事の内容を箇条書きでまとめています。
- 怒りは正常な感情。原因は科学的には解明されていないが、痛みと言われている
- 自分の怒りは原因・理由を知ることで対処できる
- 他人の怒りをコントロールするのは困難
- 生活に問題が生じている場合は、助けを求める
怒りは正常な感情
誰もが時々怒りを経験します。
怒りは自然で正常な感情であることを覚えておくことが重要です。
なぜなら、怒りは、私たちの痛みを表現する感情だからです。
怒りを感じている人は、さらなる痛みから自分を救おうとしているだけです。
自分の怒りは原因・理由を知ることで対処的できる
自分が怒りを感じたときに、以下のどの状況に当てはまるか俯瞰的に考えましょう。
- 自分の思い通りにしたい時
- 目的を達成できない時
- 肉体的な痛みを感じる時
- 侮辱された時
- 理解できない時
- 体調がすぐれない時
- 精神状態が悪化した時
- 無力感、喪失感を感じた時
- 誤解された時
怒りが発生する主な理由を把握することで自分の怒りに対処できます。
他人の怒りをコントロールすることは困難
自分の怒りを適切に抑えることができたとしても、他人の怒りをコントロールすることは困難です。
他人は自分とは異なる人生を送り、独自の世界観を持っているため、強い価値観や信念を持っている場合があるからです。
しかし、他人の怒りは、自分のメンタルに悪影響を及ぼす可能性が高いため、適切に処理する必要があります。
生活に問題が生じている場合は、助けを求める
ただし、怒りが抑えきれない場合や、生活に問題を引き起こしている場合は、助けを求めることが重要です。
暴力や侮辱は、法律により罰せられる場合があります。
自分で対処できない場合や、被害に遭った場合は、専門家やセラピストに相談するのも手です。
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