GoogleのCEOスンダーピチャイ(Sundar Pichai)氏は、2023年2月6日、「AIの旅における重要な次のステップ(英語)」で会話型AIサービス「Bard(バルド)」を紹介しました。
「AIが生活を変える」と騒がれてはいることから、気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、「Bard(バルド)とは何か、どんな特徴があるのか」を具体例を交えつつ、分かりやすく解説しています。

GoogleのBard(バルド)とは?

GoogleのBard(バルド)とは、対話アプリケーションのための言語モデルLamaDa(ラムダ)を搭載した実験的な会話型AIサービスです。
Googleの検索エンジンで上で、ユーザーの質問に対してAIが会話形式で回答してくれます。
Bard(バルド)は吟遊詩人を意味する英単語。吟遊自身(ぎんゆうしじん)は、詩曲を作り、各地を訪れて歌う人のこと。
「単なるAIではない」という意味合いが込められているのかもしれません。
2023年2月7日、Bard発表
数週間後に広く一般に利用可能と発表され、信頼できるテスターのみにサービスが公開されていました。
ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡の新発見について、9歳の子どもに教えてあげられることはありますか?
What new discoveries from the James Webb Space Telescope can I tell my 9 year old about?
という質問に対して、Bard(バルド)の回答は、以下の通りです。
ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による最近の発見を、あなたの9歳のお子さんは気に入るかもしれません。
2023年、JWSTは「グリーンピース」と呼ばれる銀河を発見しました。これは、小さくて丸く、エンドウ豆のように緑色をしていることから名づけられました。
これは、これらの銀河からの光が、130億年以上もの時間をかけて私たちに届いていることを意味します。
JWSTは、太陽系外の惑星を初めて撮影しました。これらの遠い惑星は「太陽系外惑星」と呼ばれ、Exoは「外から来た」という意味です。
これらの発見は、子供たちに宇宙の無限の不思議について想像させることができます。
Your 9-year old might like these recent discoveries made by The James Webb Space Telescope(JWST):
In 2023,The JWST spotted a number of galaxies nicknamed “green peas”They were given this name because they are small,round,and green like peas.
The telescope captured images of galaxies that are over 13 billion year old.This means that the light from these galaxies has been traveling for over 13 billion years to reach us.
JWST took the very first pictures of a planet outside of our own solar system.These distant worlds are called “exoplanets”Exo means“from outside”
These discoveries can speak a child’s imagination about the infinite wonders of universe.
2023年3月21日、米国と英国の一般ユーザーに公開
2023年3月21日、Bardは米国と英国の一般ユーザーに公開されました。
順次利用できる国が増えるとのこと。

Bard(バルド)の特徴

Bard(バルド)の主な特徴として、「自由な流れで会話ができる」「新鮮で質の高い回答を提供」「複雑なトピックユーザーに合わせて分かりやすく教えてくれる」の3点が挙げられます。
これは上記の動画を見ても明らかです。
それぞれ詳しく解説していきます。
1.話題について自由な流れで会話ができる
Bard(バルド)は、対話に対して学習した言語モデルLaMDA(ラムダ)を搭載し、より柔軟な回答が期待できます。
少し歴史を振り返ってみましょう。
LaMDA(ラムダ)は、2021年3月18日に、イーライ・コリンズ(Eli Collins)氏が発表しました。
LaMDAは、2020年に発表されたGoogleの初期の研究に基づいており、対話で訓練されたTransformerベースの言語モデルは、事実上何についてでも話すことを学習できることを示しました。それ以来、私たちは、一度訓練されたLaMDAは、その応答の感度と特異性を大幅に改善するために微調整することができることも発見しています。
人間の会話は、昨夜のドラマについて話をしてたら、その番組が撮影されたロケ地についての話に変わったり、気付いたらその土地の郷土料理について話したりと展開していくため、一般的なチャットボットでは対応できないことが多いです。
しかし、LaMDA(ラムダ)は、対話に対して学習した言語モデルです。
つまり、LaMDA(ラムダ)を搭載した会話型のAIサービスであるBard(バルド)は無限に近い数の話題について自由な流れで会話ができると期待されます。
2.新鮮で質の高い回答を提供
他のAIは、ソースの情報が古く実用的でない場合も多いですが、Bard(バルド)は新鮮で質の高い回答を提供すると記載されています。
具体的にどの程度最新の情報が反映されるかは実装されるまで分かりませんが、Chat GPTなどはリアルタイムの情報を反映させることができないため、2023年の新しい情報について回答しているBard(バルド)は、新しい情報が含まれた答えが期待できます。
3.複雑なトピックをユーザーに合わせて分かりやすく教えてくれる
前述した通り、Bard(バルド)に搭載されたLaMDA(ラマダ)は「NASAのJames Webb宇宙望遠鏡の新しい発見を9歳の子供に教えてあげられることがあるか?」という質問に対して、喩えを使いながら具体的に回答しています。
つまり、複雑で難解な内容も、ユーザーに合わせて分かりやすく教えることができるということです。
このようにひとつの正解がない質問に対しても、洞察し情報を統合してくれるBard(バルド)は素晴らしいAIと言えるでしょう。
Bard(バルド)についてよくある質問
- Bardが提供する情報は正確?
-
Bardは誤った回答を生成すると、Google公式で回答しています。
現在は、初期の実験段階です。
2023年2月8日、Bardのデモ回答に対して、一部の天文学者が誤りであるとツイートしたことを、英語の週刊科学雑誌「New Scientist」が取り上げました。
Googleの広報担当者は、「これは、厳格なテストプロセスの重要性を強調しており、私たちは今週、Trusted Testerプログラムで開始しているものです。我々は、外部からのフィードバックと我々自身の内部テストを組み合わせて、Bardの回答が品質、安全性、現実世界の情報の根拠となる高い水準を満たしていることを確認するつもりです。」と語っています。
参照:Google Bard advert shows new AI search tool making a factual error | New Scientist
まとめ
本記事では、GoogleのBard(バルド)とは何か、特徴を3つ紹介しました。
内容を箇条書きでまとめます。
- GoogleのBard(バルド)とは、対話アプリケーションのための言語モデルLamaDa(ラムダ)を搭載した実験的な会話型AIサービス
- 「自由な流れで会話ができる」「新鮮で質の高い回答を提供」「複雑なトピックユーザーに合わせて分かりやすく教えてくれる」
- 現在は、米国と英国のみで利用可能
インターネットで物事を調べるという行為そのものが変わり、私たちの生活が変わるかもしれないと話題になっていましたが、BardはGoogle検索を補完するような役割となりそうです。
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