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GoogleのBard とは?特徴2つ、歴史も紹介

Googleが提供する会話型AIサービスBard とは何か、どんな特徴があるのか、具体例を交えつつ分かりやすく解説。

発表から今日までの歴史も紹介しています。

※記事中の一部画像は英語ですが、現在日本語に対応しています。

目次

GoogleのBard とは?

Bard は、対話アプリケーションのための言語モデルLamaDa(ラムダ)を搭載した実験的な会話型AIサービスです。

チャット欄にテキストを入力し送信するだけで、想像力や生産性を高めるパートナーとしてユーザーをサポートしてくれます。

1.言語モデルLamaDa(ラムダ)を搭載した実験的な会話型AIサービス

Bard は、ユーザーが質問をチャット欄に入力するとAIチャットボットが会話形式で回答してくれます。

Bard は吟遊詩人を意味する英単語。吟遊自身(ぎんゆうしじん)は、詩曲を作り、各地を訪れて歌う人を意味する英単語。

「単なるAIではない」という意味合いが込められているのかもしれません。

LaMDA(ラムダ)はGoogleの初期の研究に基づいている

「対話に対して学習した言語モデルLaMDA(ラムダ)を搭載し、より柔軟な回答が期待できるとはどういうことか?」

少し歴史を振り返ってみましょう。

LaMDA(ラムダ)は、2021年3月18日に、イーライ・コリンズ(Eli Collins)氏が発表しました。

LaMDAは、2020年に発表されたGoogleの初期の研究に基づいており、対話で訓練されたTransformerベースの言語モデルは、事実上何についてでも話すことを学習できることを示しました。それ以来、私たちは、一度訓練されたLaMDAは、その応答の感度と特異性を大幅に改善するために微調整することができることも発見しています。

参照:LaMDA: our breakthrough conversation technology

例えば、人間だと昨夜のドラマについての会話がその番組が撮影されたロケ地についての話に変わったり、気付いたらその土地の郷土料理について話したりと次々展開していきますが、一般的なAIチャットボットではこのように柔軟な対応ができないことが多いです。

しかし、LaMDA(ラムダ)は、対話で訓練された言語モデルです。

つまり、Bard(バルド)は、無限に近い数の話題について自由な流れで会話ができる可能性を秘めています。

2.複雑な話題を分かりやすく説明

以下、ツイートで紹介された内容を翻訳したもの(原文付き)です。

ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡の新発見について、9歳の子どもに教えてあげられることはありますか?

What new discoveries from the James Webb Space Telescope can I tell my 9 year old about?

という質問に対して、Bard(バルド)の回答は、以下の通りです。

ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による最近の発見を、あなたの9歳のお子さんは気に入るかもしれません。

2023年、JWSTは「グリーンピース」と呼ばれる銀河を発見しました。これは、小さくて丸く、エンドウ豆のように緑色をしていることから名づけられました。

これは、これらの銀河からの光が、130億年以上もの時間をかけて私たちに届いていることを意味します。

JWSTは、太陽系外の惑星を初めて撮影しました。これらの遠い惑星は「太陽系外惑星」と呼ばれ、Exoは「外から来た」という意味です。

これらの発見は、子供たちに宇宙の無限の不思議について想像させることができます。

Your 9-year old might like these recent discoveries made by The James Webb Space Telescope(JWST):

In 2023,The JWST spotted a number of galaxies nicknamed “green peas”They were given this name because they are small,round,and green like peas.

The telescope captured images of galaxies that are over 13 billion year old.This means that the light from these galaxies has been traveling for over 13 billion years to reach us.

JWST took the very first pictures of a planet outside of our own solar system.These distant worlds are called “exoplanets”Exo means“from outside”

These discoveries can speak a child’s imagination about the infinite wonders of universe.

質問者が素人だとしても、分かりやすいですよね。

実際にBardを利用したところ、様々な学問に対して専門知識を持っているにも関わらず、筆者の質問レベルに合わせて複雑な話題を分かりやすく回答してくれました。

デモ回答に対する指摘

Bardのデモ回答に対して、著名な天文学者が誤りであるとツイートしたことを、英語の週刊科学雑誌「New Scientist」が取り上げました。

これに対してGoogleの広報担当者は、

「これは、厳格なテストプロセスの重要性を強調しており、私たちは今週、Trusted Testerプログラムで開始しているものです。我々は、外部からのフィードバックと我々自身の内部テストを組み合わせて、Bardの回答が品質、安全性、現実世界の情報の根拠となる高い水準を満たしていることを確認するつもりです」

と説明しています。

Google Bardの歴史

Bard は現在試験運用中のサービスではありますが、日本を含む230カ国以上の国や地域で利用です。

時系列順にその歴史を紹介します。

2023年2月6日GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏がBardを紹介
2023年3月21日米国と英国の一般ユーザーに公開
2023年4月19日 日本からもアクセス可能に
2023年5月10日約180カ国で利用可能に。日本語と韓国語版を先行公開
2023年7月13日40以上の言語に対応

2023年2月6日 GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏が紹介

GoogleのCEOサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)氏は、2023年2月6日、「AIの旅における重要な次のステップ(英語)」で会話型AIサービス「Bard」を紹介しました。

数週間後に広く一般に利用可能と発表され、初期段階では、信頼できるごく一部のテスターのみにサービスが公開されていました。

2023年3月21日 米国と英国の一般ユーザーに公開

2023年3月21日、Bardは米国と英国の一般ユーザーに公開されました。

この時点では、米国と英国で一部ユーザーのみ利用可能でした。

2023年4月19日 日本からもアクセス可能に

2023年4月19日、順番待ちリストに登録することで日本からも利用できるようになりました。

この時点では英語のみ対応していました。

2023年5月10日 約180カ国で利用可能に。日本語と韓国語版を先行して公開

2023年5月10日(米国時間)、約180カ国で利用できるようになりました。

今後40以上の言語に対応予定で、日本語版と韓国版を先行して公開したとGoogleの開発者会議で発表されました。

2023年7月13日 40以上の言語に対応

2023年7月13日、アラビア語、中国語、ドイツ語、ヒンディ語など40以上の言語に対応しました。

対応言語を見る

アラビア語、ベンガル語、ブルガリア語、中国語(簡体字、繁体字)、クロアチア語、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、英語、エストニア語、ペルシア語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、グジャラト語、ヘブライ語、ヒンディー語、ハンガリー語、インドネシア語、イタリア語、日本語、カンナダ語、韓国語、ラトビア語、リトアニア語、マラヤーラム語、マラーティー語、ノルウェー語、ポーランド語、ポルトガル語、ルーマニア語、ロシア語、セルビア語、スロバキア語、スロベニア語、スペイン語、スワヒリ語、スウェーデン語、タミル語、テルグ語、タイ語、トルコ語、ウクライナ語、ウルドゥ語、ベトナム語

Bard の特徴2つ

Bard の主な特徴として、「新鮮で質の高い回答を提供」「複雑なトピックユーザーに合わせて分かりやすく教えてくれる」の2点が挙げられます。

それぞれ詳しく解説していきます。

1.新鮮で質の高い回答を提供

2023年4月19日の回答

一般的な会話型AIは、ソースの情報が古く実用的でない場合も多いですが、Google公式にBard は新鮮で質の高い回答を提供すると記載されています。

日本からアクセスできるようになってすぐ実際に利用してみたところ、数秒で最新のニュースを生成しました。

村上春樹氏の小説のタイトル名を勘違いしていたり事実ではない情報も含んでいましたが、新鮮で質の高い回答というのは適切な表現でしょう。

2.正解がない質問に対する洞察を統合

前述した通り、Bard に搭載されたLaMDA は「NASAのJames Webb宇宙望遠鏡の新しい発見を9歳の子供に教えてあげられることがあるか?」という質問に対して、喩えを使いながら具体的に回答しています。

つまり、複雑で難解な内容もユーザーに合わせて分かりやすく教えることができるということです。

このようにひとつの正解がない質問に対しても、洞察し情報を統合してくれるBard は素晴らしいAIと言えるでしょう。

Bard についてよくある質問

Bardが提供する情報は正確?

Bard で生成される情報は不正確または不適切な場合がありますが、Google の見解を述べるものではありません。

と記載されている通り、全ての回答が正確というわけではありません。

まとめ

本記事では、GoogleのBard とは何か、歴史、特徴を2つ紹介しました。

最後に、内容を箇条書きでまとめます。

本記事のまとめ
  • GoogleのBard とは、対話アプリケーションのための言語モデルLamaDa を搭載した実験的な会話型AIサービス
  • 特徴2つ
    • 「新鮮で質の高い回答を提供」
    • 「複雑なトピックユーザーに合わせて分かりやすく教えてくれる」

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