2023年2月17日、Elon Musk(イーロン・マスク)がTwitterで物議を醸す発言をして話題になりました。
以下、ツイートを翻訳したものです。
OpenAI は、Google に対抗するためのオープン ソース (私が「オープン」AI と名付けた理由)、非営利企業として作成されましたが、現在はマイクロソフトによって効果的に管理されているクローズド ソースの最大利益企業になっています。
私が意図したものではありません。
参照:Twitter
Open AIの初期に資金を提供したイーロン・マスクの発言ということもあり、衝撃を受けたという方もいるのではないでしょうか。
本記事では、「Open AI はMicrosoftに実質的に支配されている」は本当なのか、Open AIの変遷と資金源、サービスにバイアス(思考の偏り)がないかなを調査し、考察しています。
※発言は事実ですが、発言内容の信憑性については確認できていません。
※本記事は、一部個人的な見解が含まれます。
Open AIの変遷からわかる資金源の変遷
Open AIは、人工知能(AI)の研究と開発をする非営利団体でしたが、現在は営利企業です。
以下、Open AIにおいて重要な出来事をまとめた簡易的な年表です。
西暦 | 出来事 | 詳細 |
---|---|---|
2015 | Open AI設立 | Elon Musk、Sam Altman、llya Sutskever Greg Brockman、Wojcciech Zaremba、John Schulman らによって設立 |
2019 | 営利目的に移行 | OpenAI LP設立 |
2023 | Microtsoftが出資と製品を発表 | Microsoft(マイクロソフト)は、Open AI へ複数年にわたり数十億ドルの投資をすると発表 さらに、ChatGPT と同じ基盤に基づくAIテクノロジをMicrosoft Bing、Edge、Microsoft365などの製品に組み込むことを発表 |
詳しく紹介します。
Open AI は2019年から営利目的に移行(利益に上限がある)
2019年、OpenAI は非営利から「上限付き」の営利企業に移行し、利益は投資の100倍に制限されました。
Open AI公式ページでは下記のように説明されています。
私たちの解決策は、営利と非営利のハイブリッドとして OpenAI LP を作成することです。これを「上限付き利益」企業と呼んでいます。
参照:OpenAI LP
具体的にまとめました。
- ミッションが成功した場合、投資家と従業員が上限付きのリターンを得ることができる
- 上記の金額を超える収益は、元の OpenAI 非営利団体が所有
- 今後 (この投稿および他の場所で)、「OpenAI」は OpenAI LP (現在、ほとんどのスタッフを雇用しています) を指し、元のエンティティは「OpenAI Nonprofit」と呼称
つまり、投資家と従業員の利益には上限があり、超過収益は「OpenAI Nonprofit」に送られるため抑制と均衡を保てるというわけです。
2023年1月、MicrotsoftはOpen AIへ数十億ドルの投資を発表
2023年1月23日、Microsoft(マイクロソフト)は、Open AI へ複数年にわたり数十億ドルの投資をすると発表。(参照:BloombergとCNBC)
そして、2023年2月7日、Microsoftは、ChatGPT と同じ基盤に基づくAIテクノロジをMicrosoft Bing、Edge、Microsoft365などの製品に組み込むことを発表。
Open AI が開発したGPT-4搭載Chat GPTはMicrosoftにバイアスがある?
「Open AI が開発したGPT-4搭載のChat GPTは、Microsoftに忖度するのか?」
IT企業として比較されることが多いGoogleとMicrosoftを褒める文章をChat GPT(GPT-4搭載)に生成してもらいました。
Googleを褒める文章は一般的な言葉が多いですが、Microsoftを褒める文章は、「革命、偉大な企業、創設者への賛辞」などバイアス(思考の偏り)があると捉えられてもおかしくない内容だと感じました。
Open AI は「Microsoftに実質的に支配されている」は本当か?
- Micro softがOpen AIに多額の出資をしていること
- Open AIが開発した技術が、Micro softの製品に組み込まれていること
- GPT-4搭載のChat GPTはMicrosoftに忖度した回答を生成
上記の理由から、「Open AIはマイクロソフトによって効果的に管理されている」というイーロンマスクの発言は、本質を突いたものだと言えるでしょう。
2023年3月24日、続けて以下のようにツイートしました。
マイクロソフトは、投資の一環として、OpenAIのコードベース全体への独占的なアクセスを獲得しました。
これに対して、Twitterユーザーが「全てではない」と反論しますが、続けてイーロン・マスクは下記のように発言しました。
ChatGPT は Microsoft Azure 内に完全に格納されています。 いざという時には、モデルの重さも含めてすべて揃っています。
※Microsoft Azureとは、マクロソフトの管理するデータセンターを通してPaaS、IaaSを提供するクラウドコンピューティングサービスのこと。※Wikipediaの定義(2023年3月24日時点)
この発言が事実だとしても、「実質的に支配されている」とまで言えるのかは、個々の捉え方によるでしょう。
あとがき
AI言語モデルは偏ったデータを学習することで、社会的な問題を引き起こすことがあります。
これらの偏りは、入力された情報が不透明である以上、研究者や開発者がコントロールできてしまう場合あります。
しかし、過度に不安になる必要はありません。
一般市民がAI企業の動向を注視しいくことで、問題が起こるのを抑止できる可能性があります。
情報は鵜呑みにするのではなく、発信者の意図や立場を考えて受け取り、これらの問題に対処していくのが人間のためになるのではないでしょうか。
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